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神戸地方裁判所 昭和38年(行)2号 判決 1964年5月14日

原告 平林真一

被告 大阪国税局長

訴訟代理人 叶和夫 外四名

主文

本件を大阪地方裁判所に移送する。

事  実 <省略>

理由

本訴において原告が取消を求めている前記決定をなした被告の所在地が大阪市であることは、成立に争のない甲第一号証の一によつて認められるから、当裁判所には行政事件訴訟法第一二条第一項による管轄はない。そこで次に同条第三項の特別管轄についてであるが、原告は西宮税務署は、原告の所得税について調査し、昭和三七年一月一四日付で原告の昭和三四年度分所得税の更生処分をなしたから、同条同項の下級行政機関に当ると主張するけれど、その事実は裁告が昭和三七年一一月三〇日付でなした前記決定自体に西宮税務署が関与したものとは云えず、他に西宮税務署が被告の前記決定自体に関与したことを認めるに足る証拠はないから、右税務署が前記条項にいわゆる「裁決の処理に当つた下級行政機関」とは云えない。その他被告の前記決定に関し事案の処理に当り、かつ当裁判所の管轄内に所在地を有する下級行政機関の存在を認めるに足る証拠はなく、また他に本訴につき当裁判所の管轄を認めるに足る理由はない。(なお、原告は昭和三九年二月一三日付第二準備書面において「原告は行政事件訴訟法第二〇条の規定により西宮税務署のなした処分に対する取消の訴を併合して当裁判所の裁判を求める」と述べ、その理由として「西宮税務署は、昭和三七年一月一四日付の処分をした後原告がこれに対して再調査請求をしたところ、該請求に対して決定をなさず、これを被告に対する審査請求に切替えたため、被告が前記決定をなしたのであるから、西宮税務署に対しては出訴は許されない」旨込べている。しかし原告は大阪国税局長を被告として請求しているのであるから、同局長に対し、西宮税務署の処分の取消を求めることの当否は別として、管轄はやはり大阪国税局長の所在地により定むべきことには変りがない)従つて前記法第一二条第一項により、本訴は被告の所在地の大阪地方裁判所の管轄に属するものと解すべきであるから、同法第七条、民事訴訟法第三〇条第一項を適用して主文のとおり決定する。

(裁判官 森本正 菊地博 大石貢二)

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